毎年のように起こる大規模な「台風」、局地的な大雨による「浸水」。これまでに被害に遭ったことがない方も、近年では毎年のようにニュースで見かけているのではないでしょうか。
これらのことは決して他人事ではありません。これからどこに住むかを検討している人は、購入する前にどのような点に注意するべきなのか、必ず確認しておきたい内容です。
日本を取り巻く近年の水害被害
東海地区に住んでいる方は、比較的大きな被害を受けていないのであまり印象に残っていないかもしれません。毎年のように日本各地で、水害による被害が発生しています。国土交通省の統計では2019年の水害被害額が過去最大の2兆1,800億円となりました。2020年、2021年も局地的な大雨による河川の氾濫や土石流の発生により、多くの被害が発生している状況です。
2019年に1兆8,800億円の被害をもたらした台風19号は、愛知県から上陸するとされていましたが進路を変えて千葉県に上陸しました。いつ、自分の住んでいる地域が水害に遭うか分かりません。日頃から備えることが大切です。
水害被害額 2兆1,800億円
被災建物棟数 約99,000棟(内、全壊・流出3,379棟/半壊17,796棟/床上浸水27,792棟/床下浸水50,414棟)
■前線に伴う大雨による水害(8月/西日本・九州)
■台風19号による水害(10月/東日本・関東甲信東北) ※水害被害額:約 1 兆 8,800 億円
(被害額参考:水害統計調査 – e-Stat 2021年10月22日時点)
「ハザードマップ」を要チェック!
2015年の水防法の改正に基づき、各自治体が「ハザードマップ」を更新したのをご存知でしょうか。
下図は、豊田市の中心部の洪水ハザードマップです。豊田市では2021年3月に約17年ぶりの改訂を行い、従来の「150年に1度の大雨」を基にした情報ではなく、「1,000年に1回程度の確率で発生する規模の大雨」の想定した情報に変更されました。
(転載:豊田市洪水ハザードマップ│豊田市 2021年10月22日時点)
この変更に伴い、これまで洪水ハザードマップ上で被害が発生されないとされていた地域でも、1,000年に1度の確率に変わったことで被害想定エリアになっている可能性があります。
例えば豊田市では矢作川の氾濫などにより被害想定エリアが大幅に見直しされています。住宅地も被害想定エリアに入っているため、持家の希望条件によっては被害想定エリアを避けられないかもしれません。
その地域にどんなリスクがあるのか、事前に把握して備えることが大切です。
参考:浸水深の目安
(参考:川の防災情報│国土交通省、千葉県津波避難計画策定指針(平成28年10月改定)│千葉県 2021年10月22日時点)
水災にも備える火災保険
火災保険には「火災」以外にも補償があることをご存知ですか?
今回取り上げた「水災」「台風や暴風雨」にも火災保険が適用されますが、多くの方がご存知ないのが実態です。
洪水ハザードマップを確認し、浸水想定エリアで持家をする方は加入を検討してください。
契約前に水害リスクの説明が義務化
2019年の台風19号などの甚大な被害をもたらす大規模水害等が頻発していることを受け、2020年7月より重要事項説明の際に水害リスクの説明が義務化されました。
購入前に対象物件にどのようなリスクがあるのかを把握した上で契約することになりました。
水災に対する関心は今後も高まり、土地の価格にも影響がある場合があります。
買主の保護のため宅建業者は、不動産取引時(契約前)にその物件の持つ重要な条件について買主に説明することが法律で義務付けられています。重要事項説明は宅地建物取引士の資格を持つ人が行わなければいけません。
[説明項目例:土地の面積、設備の整備状況、契約解除の条件、法令に基づく土地利用の制限の有無等]
まとめ
持家をされる7割の方は土地から探していると言われています。気に入った土地の水害リスクを把握した上で、火災保険の「水害」の補償を備えたり、避難ルートを確認するなど、いつ災害が起きても対処できるようにしておくことが大切です。
契約前の重要事項説明で水害リスクの説明が義務化されましたが、一度、自治体のホームページで公開されている「ハザードマップ」の情報を確認してみてください。いつ来るか分からない水害にしっかりと備えておくことで、楽しい生活を送りましょう。